Saturday, August 9, 2014

さぁパワートレーニングを始めよう! Part6実践編①

前回のFTPテストでパワートレーニングを始める準備が整いました。

Photo credit: VeloNews
しかし、FTPを測ったとはいえ今すぐトレーニングの全てをパワーベースのトレーニングに変える必要はありません。

そもそも「FTP105%で20分x 2 、AC30秒を6本、最後のテンポは90%FTPまで上げてみよう。」なんて言われても、自分にとって効果がある練習なのか分からないばかりか、何のことだか分からない方も多いはずです。

また今までのトレーニング方法から一気にパワートレーニングに移行する事に懐疑的な方や不安を感じ躊躇している選手もいるでしょう。

そんな場合は普段のトレーニングにパワートレーニングを少しずつ取り込んで行き、しっかりと効果を確認しながらトレーニングを進めて行くのが有効です。下記のメニューはデータ収集の役割もあり、今後トレーニングを進めて行くうえで必ず役立ちます。

メニュー1 MAXチャレンジ
月々のベスト・ワット数
既に皆さんの定番練習コースの中で、「あの標識から頂上までダッシュ!」「この山に来たらタイム計測」などのポイントがあると思います。
そういった場所でパワーを計測しましょう。
測る時間は下記の時間を参考にしてください。
距離で区切るよりも私は時間をお勧めします。その理由は、時間であれば世界中どこに居ても同じ条件で計測が可能な為、簡単に比較が出来るからです。

(1)スプリント 5~15秒
スプリント領域の最高ワット数の計測です。5秒・10秒・20秒の最大ワットを測りましょう。ベロドロームや人・車の来ない道路で計測しましょう。
自分が回し切れる最大のギアに入れ全力疾走開始です!
この領域はあまり細かい規定時間にこだわる必要はありません。5秒なら8秒程度、10秒なら12秒程度加速にかかるギアを見つけてモガキます。
その中でベストな5秒・10秒のワット数を後で抽出します。
5秒間の平均ワット数が、男性なら体重の20倍、女性なら15倍を超えたなら、十分スプリンターとして活躍して行けるでしょう。
例:体重60kgの男性なら1,200w     体重50kgの女性なら750w

余談ですが一流のトラックスプリンターなら25倍を超える出力を発揮します。

(2)アネロビック 30秒~2分(Anaerobic Capacity無酸素運動容量)
無酸素性能力の計測です。30秒・1分・2分と時間を区切りそれぞれの時間全開でモガキます。(それぞれ別で行います。)
前回測定したFTPの120~150%をマークする事を目標にします。
例:FTP300w  450wで30秒 360wで2分を目指す。

(3)VO2MAX 3~8分
最大酸素摂取量レベルの計測です。3分・5分・8分(それぞれ別で行います。)と時間を区切って走りましょう。ここで大切なのは最後まで踏み切ること!計測中最後の1秒・1ストロークまで全力でペダリングします。
途中飛ばし過ぎて最後はヘトヘトでは平均パワーは下がってしまいます。スタートから最後の1秒まで力強く走れるペーシングが大切です。
前回測定したFTPの106~120%を目指します。
例:FTP300w 360wで3分 318wで8分

(4)LT 10~60分
FTPテストというと身構えてしまいますが、定番練習コースの中で20分程度の峠を見つけ全開で走ってみるのも良いものです。意外とベストワット数を更新できるかもしれません。
前回測定したFTPの100~105%を目指します。
例:FTP300w 315wで10分 300wで60分

20分間の出力が、男性で体重の5倍、女性で4.5倍を超えたら、国際レースを視野に入れてトレーニングしても良いでしょう!


全ての領域で目標達成できたら素晴らしい!
もし、出来なければその領域のトレーニングを増やす必要があるかもしれません。
帰宅したらPCにデータをダウンロードして各最大パワーを記録しておきましょう。

今日記録したパワーは次回更新すべきパワーです!


年ごとのベスト・ワット数
これらのデータを蓄積していくことは良いトレーニングになるだけでなく、今後みなさんが自転車競技を続けて行くうえで貴重な「財産」になります。

「昨年の自分が、出力していたワット数は?」
「2年前の自分は? 3年前と比較すると?」

ずっと記録を取り続けて行けば
「40歳の自分は、いまでも28歳の時と同じ出力で走れてる!」なんて事に気づくかも知れません。

また一旦競技生活から離れた場合に「よし、ベストな時代の自分に戻ろう!」なんていうモチベーションを得てトレーニングに戻ることも出来るでしょう。

こうやってデータを蓄積し、パワーデータをモチベーションにトレーニングするサイクリストをData driven cyclist(データ・ドリブン・サイクリスト)と言います。
皆さんも是非、データを活用し、トレーニングのモチベーションにして下さい。

一番上の写真はツアー・オブ・ヒラで総合優勝、そしてATOC(ツアー・オブ・カリフォルニア)では総合11位に輝いたカーター・ジョーンズ選手です。

彼はU23時代からパワートレーニングに取り組み、UCI2.2のレースで総合3位(左写真)、カスケードクラシックで新人賞(下写真)など着実にステップアップを遂げてきました。

コーチであるスティーブ・マクレガーとカーターは長年お互いに協力しながら、少しずつパフォーマンスを高めて来ました。スティーブのPCにはU23時代から今日に至るまでのパワーデータが一つ残らず保存されています。

その記録は、また先の未来を創る為の資源となるのです。

パワーデータという財産は、プロツアーを目指す若者から、アンチエイジングを目指すマスターズの選手まで、かけがえのない財産となるはずです!!



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ではロードでお会いましょう!



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ハンターアレン、中田尚志(共著)

ハンター・アレン…全米自転車競技連盟Level1認証コーチ。元プロ・ロード選手。1995年よりあらゆる種目のコーチングを手掛け世界チャンピオン、全米チャンピオンを始め1,000以上の勝利に貢献している。全米自転車競技連盟パワートレーニング講座の講師。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)他、著書多数。



















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